強迫症専門外来について
強迫症の方を対象にした専門外来で、認知行動療法による治療を実施しています
※うつ症状をはじめとする他の症状が強い方には先にそちらの症状の治療を勧めることがあります
強迫症とは
- 強迫症とは、強迫症状のために生活が障がいされる病気です。
- 強迫症状とは、しつこく浮かんできて不安や不快にさせる考えやイメージ(強迫観念)あるいは、安心するために繰り返される行動(強迫行為)からなります。
- 強迫症は、生涯の間に100人に1~4人が経験する、決して珍しい病気ではありません。
- 強迫症の原因は未だ明らかにされていませんが、有効性が認められている治療には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を主とした薬物療法、および認知行動療法(CBT)があります。SSRIは、うつ病の患者さんが飲む抗うつ薬です。
- 認知行動療法では、患者さんひとりひとりにあった治療を患者さんと主治医が一緒に考え、患者さんが治療に取り組むことを主治医が出来る限りサポートしていきます。
- 強迫症の治療に用いる技法の中のひとつに曝露反応妨害法があります。これは、患者さんに、強迫症の症状が出る状況に敢えて何度も直面してもらい、その時に生じた不安や不快感に対して強迫行為をしなくても自然とそれらが軽減していくことを体験してもらうことによって、脳自体が変化して、強迫症状が軽快します。
この技法では、患者さんが避けていた状況に敢えて立ち向かうこととなりますが「一般的に行わないこと」「誰にとっても過剰なこと」に取り組むことはありません。
強迫症専門外来をご利用の皆さまへ
いつも当外来の運営にご協力いただき、ありがとうございます。
予約が取りづらい状況が続き、ご不便をおかけしていることをお詫び申し上げます。
強迫症について
強迫症は 100人に1〜4人が生涯のうちに経験する、珍しくない病気 です。
悪化しやすく生活に大きな影響を与えることから、WHOでも「生活を障害する疾患」の上位に位置づけられています。
しかし、 症状が出てから受診までに平均10年ほどかかる と言われています。
その背景には、専門的な治療を行える医療者が少ないことがあります。
当外来では、できるだけ早く・より多くの方に適切な治療を届けることを目指しています。
当外来での治療について
当外来では、可能な限り 保険診療の範囲での治療 を基本とし、症状や状況に合わせて以下の3つの枠組みをご案内しています。
《治療の枠組み》
① 保険診療:診察で行う認知行動療法(CBT)
- 原則2週間ごと
- 1回30分
- 上限16回
② 自費カウンセリング(+③の診察)
- 必要に応じて、時間や頻度を個別に調整
③ 保険診療:短時間の診察(約10分)
- 症状や状況に応じて実施
通常は①から開始しますが、症状に応じて②から始める場合もあります。
認知行動療法(①)が終了した後は、原則③へ移行します。
治療理解が深まり、ご自身で対応が取れるようになっている場合には、③でもCBT的取り組みを継続できます。
一方、16回終了後も時間をかけた治療が必要な場合には、②の自費カウンセリングの併用など、主治医と相談しながら柔軟に治療方針を調整します。
ご協力のお願い
最近、初診希望の方が増えており、診療枠が大変混み合っています。
そのため、③の短時間診察では 相談内容をあらかじめ整理し、10分以内で終えられるよう ご協力をお願いいたします。
また、①の認知行動療法について、
当日キャンセルが2回以上続いた場合 は、いったん中断し、継続が可能になるまでは③での通院に変更させていただくことがあります。
より多くの方に治療の機会を届けるため、ご理解をお願い申し上げます。
認知行動療法のゴール
CBTの最終目標は、患者さんが 「自分の治療者」になれるようになること です。
- 病気を理解し
- 自分で治療的な行動を選び
- 実践できるようになること
が大切です。
課題が難しいときは治療者が工夫しますが、患者さんの代わりに取り組むことはできません。
限られた治療回数を有意義に使い、診察やカウンセリング全体を通して、治療が効果的に進むよう一緒に取り組んでいきましょう。
医師紹介
精神保健指定医・精神科専門医
加藤 奈子 医師
土曜日担当
行動療法、強迫症が専門領域
精神科医として30年目
当外来は、強迫症でお困りの多くの方に、早く確かな治療を届けられるよう努めています。
ご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にお尋ねください。
